勉強の「やる気が出ない」を打開する4つの方法

テスト前に、生徒と話をしていると、「部活がなくて早く帰っても、結局だらだらするだけになるんですよね。どうしたら、勉強のやる気が出ますか…。」と相談されることがあります。

私も学生時代、同じような経験をしただけに、生徒の気持ちはよく理解できます。

 

あなたは、学生時代どのようにして勉強のやる気を出していましたか?

 

やる気が出ない状態を「0」として、とりあえずノートを開き、ペンを動かした状態を「1」とします。その0から1に動かすときが、最もエネルギーを必要とし、難しいものです。

 

例えば、自転車に乗るとき、最初の漕ぎ出しが最も力を使います。その後、勢いに乗ると必要とする力は徐々に小さくなります。

勉強のモチベーションもこれと似たところがあると思います。

 

そこで今回は、わたしが生徒と実践しながら効果的だった4つの方法について紹介します。

誤解がないようにお伝えしますが、学習効果を高める方法ではなく、あくまで「やる気スイッチ」を入れるための方法です。

 

【ポイント】

やり始めるまでのハードルをかなり低くした環境をつくる

①選択肢を与える(自己決定)

②5分ルール

③すぐに始められる状態をつくっておく

④きりが悪いところで終わる

 

「やる気が出ない」を打開する4つの方法

①選択肢を与える(自己決定)

問題を解くだけが勉強ではありません。人によって、取り組みやすい学習内容は違ってきます。

勉強の選択肢を与えることで、取り掛かりのハードルを下げるねらいがあります。

学級担任をしていた時は、以下の3つから勉強を始めることを勧めていました。

1)5分間でテスト範囲のページを3回読む(教科書)

2)問題集の最も簡単な問題から解く

3)クイズ形式で3つ問題をつくる

 

1)5分間でテスト範囲のページを3回読む(教科書)

その名の通りタイマーを使い5分間設定して、時間内にテスト範囲の教科書のページを3回通して読むだけのものです。3回転させるとなるとかなりのスピードを必要とするため、集中することにつながります。ページ数によっては、5分以上かかることもあります。これは、読むことがねらいなのでなく、5分だけでも集中する時間をつくることがねらいです。

 

2)問題集の最も簡単な問題から解く

これはオーソドックスなやり方ですが、自分が解ける問題を解いて、「やる気スイッチ」を入れるものです。例えば数学でいうと、大問1の計算問題がこれに当たります。

 

3)クイズ形式で3つ問題をつくる(答えまでセット)

クイズをつくるためには、教科書を見たり、問題集を見たりしなければなりません。また、内容を理解していないと、答えをつくることもできません。

このやり方に生徒が慣れてくると、中には「思考・判断・表現力」を問うような文章問題をつくってくる生徒もいます。

テスト前に自習時間があるようなときは、学級でこのやり方を実施してみんなで問題を解き、盛り上がることもあります。

 

 

②5分ルール(簡単な問題から)

とにかく、「まず5分だけ勉強をする」という考え方です。とても単純なやり方ですが、勉強をし始めると、多くの人は5分で終わらずに、継続して勉強すると思われます。

これには様々な研究があり、

「行動と感情の相互作用」の研究によると、行動を起こすことで感情が変化し、その結果としてやる気が高まることが示されています。

 

③すぐに始められる状態をつくっておく

教科書や問題集を机の上に開いたままにしておく、トイレに英語の単語帳を置いておくなど、目に入りやすく、すぐに勉強を始められる状態をつくっておくことが大切です。

人は目的とする行動を起こすまでに、必要な準備が多いとモチベーションの低下につながるといわれています。

 

④きりが悪いところで終わる

きりが悪いところで終えることで、次回の勉強時にその部分を思い出す必要が生じます。この「未完了感」が、記憶の定着を助けることがあります。また、途中まで取り組んでいる内容なので、取り掛かりのハードルが下がった状態になっています。

 

【まとめ】

勉強に対するモチベーションは、常に高いわけではありません。だからこそ、「行動をすることで、やる気が起きる」という考え方が、大切ではないかと思います。

 

また、私の感覚としては、テスト終了後やテスト結果が返ってきた直後が、最も勉強に対するモチベーションが上がっていると感じます。

テスト前の勉強も大切ですが、「48時間の法則」を意識して、テスト後のモチベーションを毎日勉強する習慣につなげてほしいと思います。

harunosora-8686.hatenablog.com

やる気を行動につなげる「48時間の法則」

 

本やテレビから有益な情報を得たときに、私はスマホにメモを取るようにしています。

「これはすごい!ぜひやってみよう!」と思い、やる気になった情報は、メモを赤文字に変えるなど特に目立つようにしています。

 

しかし、気がついたらメモの山…。

結局実行せずに、ただメモだけが増えていくという日常になっていました。

 

皆さんはいかがでしょうか?

何かに感銘を受けて、やる気が出たときに、実際にどれだけ行動に移せましたか?

 

「やる気」を行動に移せない。ただ頭の中の目標で終わってしまう...。

このようなことは、学校で生徒と話す中でもよく話題になります。

 

そこで、様々な本を読んでみると以下のことがわかりました。

今回はその内容と実際に実践して効果があったことについて紹介します。

 

【ポイント】

やる気が出たら、48時間以内に行動に移す

これは、「48時間の法則」が、その理由となっています。

 

「48時間の法則」とは

目標や新しいアイデアを思いついた際に、48時間以内に行動に移すことで、モチベーションを維持し、実現可能性を高めるというものです。

これは、行動を起こすタイミングが重要であることを示唆しています。

逆にいうと、モチベーションの持続は、48時間しかもたないということにもなります。

 

皆さんは、次のような経験をした事はありませんか?

 

テレビを見て、ダイエットにはランニングなどの有酸素運動を30分以上やることが効果的という情報を得ました。

すると、「明日からやってみよう」とやる気になります。

しかし、次の日は、雨が降っていて走れなかったため、「今日はいいや。明日からはじめよう...。」となりました。

そうなると、もうその翌日には、外に出ることすら億劫になってしまったということが…。

 

これはまさに、やる気が出てから、48時間以上経ったために、モチベーションが低下してしまった悪い例です。

 

このようなことを防ぐために、私は次のことを心がけています。

 

やる気を行動につなげる4つのポイント

①行動に移せる時間を見つける

まず大切なことが、自分の生活のどの場面にその行動を入れる時間があるか把握することです。

 

学校の生徒でよくあるのが、部活動の最後の試合が終わった後に、次のようなことを話す生徒がいます。

「先生聞いてください。私、明日から受験勉強を1日3時間がんばります。」

私が、「いつ勉強するの?」と聞くと、「18時から21時です。」と。

しかし、学校から帰宅後のことを具体的に考えさせると、

「あっ、週3回は、19時から別の習い事が入っていました…」なんてことがあり、実際には受験勉強にあてられなかったということがあるのです。

 

こうならないためにも、まずは自分が動ける時間を確実に把握することが大切です。

 

しかし、「腕立て伏せを10回する」といった短時間で済む行動の場合は、いろいろ考えるよりも、思い立った(やる気が出た)直後に取り組む事をお勧めします。

 

②リマインダーを設定

スマートフォンやカレンダーにリマインダーを設定し、行動を忘れないようにします。

特にオススメは、LINEの「リマインくん」です。

この機能を使う場合は、LINEの友達追加で、「リマインくん」と検索するだけです。

 

例えばランニングを始める場合は、リマインくんに、「ランニング」、「明日18時」と入力すると、次の日の18時に「ランニングする時間だよ!」と通知がきます。

 

まずは何より、先延ばしを防ぎ、最初の行動につなげることが大切です。

reminekun.com

 

③5分ルール

最初から大きな行動目標を立てても、人は挫折します。人間の脳は、大きな変化に対してストレスを感じ、元の状態に戻ろうとする性質があるからです。

それを防ぐためには、まずは5分の行動から始めることです。

これは、準備時間を含めて5分です。

「えっ…、たったの5分…。」と思われるかもしれませんが、この5分を例外なく続けることが習慣化につなげる秘訣です。

まずは騙されたと思ってこの5分から始めてほしいと思います。

 

④ 進捗を記録する

行動を起こしたら、その進捗を記録します。これにより、モチベーションが維持され、習慣化につながりやすくなります。

私は、ランニングを習慣化する時に、「ナイキ ラン クラブ」のアプリを使い、勝手に記録が蓄積されるようにしました。

自分が努力した結果が可視化されると、それだけで自信になり、「次も頑張ろう」というモチベーションにつながります。

 

【まとめ】

「思い立ったが吉日」ということわざがあるように、やる気が出たそのタイミングを逃さないことが重要です。

48時間以内に、まずは最初の1歩を踏み出して欲しいと思います。

その1歩が、自分を変える1歩につながるはずです。

 

「行きたくない。」を防ぐ、悩みを引き出す4つの方法

教員の仕事をしていると、「先生、うちの子が『学校に行きたくない。』と言っています…。」といった電話を受けることがあります。

登校しぶりには、いじめ問題、人間関係のトラブル、授業についていけないなど何らかの問題があります。原因によっては、学校を欠席し始めると、それが長引く場合があるため、そうなる前に、手を打っておくことが重要だと、最近つくづく感じます。

また、不登校防止だけでなく、組織内のメンバーの、悩みや不安を引き出すことには大きなメリットがあります。
相談しやすい環境を作ることで、個人の成長だけでなく、学級(チーム)の成長にもつながるからです。

【ポイント】

悩みを引き出すときは、

①縦のつながり
②横のつながり

を意識する。

 

誰かに悩みを相談する場合、先生(上司)にしか相談できないこともあれば、友だち(先輩や同僚)にしか相談できないこともあります。
当事者の関係性によって、相談事の内容や質は変わってくるものです。

そこで、悩みを引き出す具体的な方法を4つ紹介したいと思います。

 
1.Formsを使ったアンケート(縦のつながり)

これは、MicrosoftのFormsを使うものです。
一度、アンケート(質問)を作成すると、何度も使い回せるので、とても効率的だと感じています。

 

ここで重要なのが、
①「はい」、「いいえ」で答えられる選択肢の質問
②  自由記述の質問
の両方を組み合わせることです。


選択性の質問の場合、気軽に答えやすいというメリットがあります。一方で、悩みや不安の具体的な内容は分かりづらいといったデメリットもあります。


自由記述の質問の場合は、悩みや不安の本質に迫ることができるメリットがあります。しかし、どこまで本当のことを打ち明けるかどうかは当事者によるため、記述なしの可能性もあるのがデメリットです。

 

Teamsを使った場合、結果が自動的にグラフとして表示されることもメリットの1つです。
学級で実施した場合は、その結果を学年や学校全体で簡単に共有することもできます。
困り感を感じている生徒を早期に見つけ出し、サポート体制を組むことにもつながります。

Forms
 
2.交換ノート(縦のつながり)

これは、筆談でのやりとりです。

担任と学級の生徒、部活の顧問と選手など、1対1でやりとりをする場合に使います。

私の場合は、B5サイズのノートを3分割し、生徒に配布していました。

学校によっては、学活ノートや連絡帳などが準備してあることもあると思います。しかし、そのノートだと、記入欄が小さかったり、保護者が見る場合があったりするので、生徒の本音を引き出しにくいと感じています。ですので私は、別のノートを準備していました。


記入する内容は、基本的に何でもオッケーです。しかし、日数が経つにつれマンネリ化する傾向にあるので、記入するテーマを提示します。
・最近、嬉しかったこと
・最近、腹が立ったこと
・親とケンカしたこと
・先生に伝えたいこと など
そのテーマの中から、生徒が書きたいことを選択して書くというものです。


この取り組みのメリットは、継続して続けると、生徒理解につながります。また、担任と生徒の関係性の構築にもつながります。さらに、文字の量やその日の書き方(丁寧さ、雑さ)などから、その時の生徒の精神状態も感じ取ることもできます。
デメリットとしては、返事を書くのに時間がかかることです。ですので、私は、毎日ではなく週3回(月・水・金)にしていました。

 
3.「ふきだしくん」を使う(横のつながり)

ふきだしくん

「ふきだしくん」のサイトを使い、意見を共有するものです。

利用登録などもなく、検索エンジンに「ふきだしくん」と入力するだけで、とてもシンプルなのがオススメポイントです。

使い方は、各自が入力するテーマをあらかじめ提示して、思い思いに意見を出すだけです。


テーマは、
・学級(チーム)の課題、最近困っていることなど〔悩みを引き出すテーマ〕
・最近嬉しかったこと、学校(チーム)の成長など〔ポジティブな意見を引き出すテーマ〕
など、その時の目的によって変更します。


この「ふきだしくん」のメリットは、意見に対して「いいね」ボタンを押せることです。自分の意見に対して、「いいね」を押してくれる人がいると、共感を感じることができ、その人の安心感につながることがあります。
デメリットとしては、全体で共有するので、本当に深刻な悩みなどは書けない場合もあることです。

 

(流れの一例)

※学活の授業:テーマ「教室で困っていること、悩んでいること」
①意見入力
テーマに沿った意見を出し合う

 

②「いいね」タイム
他者の意見を読み、共感できるものに「いいね」ボタンを押す

→その後、学級の課題解決に向けて、具体的な行動目標を生徒に考えさせることもある。

 

(場合によっては以下の取り組み)
③意見(困り感や悩み)の種類ごとにグループ分けをして、さらに内容を深める。
この時、場合によっては、教員はその場に立ち合わないこともあります。また、悩みを共有することを目的としているため、解決策まで考え出せなくてもいいとしていました。

477.jp

 
④個別の面談(縦のつながり)

アンケートや生活の様子を見ていて気になる生徒がいた場合や、生徒の本音を聞き出したい場合は、個別の面談を行います。

 

面談するときのポイントとしては、

①傾聴する

②理解を示す

③共感する

です。

 

とくに、生徒が深刻な悩みを抱えていて、早期に対応が必要な場合は、個別の面談を実施します。その時、聞き手側との関係性が重要になりますので、場合によっては担任だけでなく、部活動顧問や養護教諭などのサポートをお願いすることも大切です。

 

【まとめ】

毎月1回、困り感や悩みを吐き出すことができる場を設けることで、組織内のメンバーの不安の解消につながります。
また、同じ方法ばかりであるとマンネリ化してしまうので、方法を変えることで、悩みの引き出し方変わってきます。
「行きたくない。」と心が折れる前の取り組みが大切です。

 

悩みを相談できる組織の10のメリット

学級経営がうまくいっている担任や、部活動のマネジメントが上手な教員を見ていると、よく生徒に悩みの相談をされています。一見、その組織(学級)には様々な問題があるように見えますが、その教員を信頼しているからこそ、生徒は相談するのだと思います。

生徒が相談しやすい環境にあると、問題が深刻化する前に、教員が手を打つことができ、早期解決に向かうことができます。また、相談者側にも多くのメリットがあります。

【ポイント】
いい組織(チーム)は、悩みを相談しやすい環境がつくられている

そこで今回は、

「悩みを相談できる組織の10のメリット」

についてお伝えします。

1. 感情の整理

話すことで自分の感情を整理し、理解しやすくなります。
例えば、中学生であると、「(自分自身が)何に対してイライラしているのかわからない」という生徒がいます。そんな時に、相談をすることで、そのイライラの原因の自覚につながることもあります。

 

2. ストレスの軽減

悩みを共有することで、心の負担が軽くなり、ストレスが減少します。精神衛生上、とても大切なことです。

 

3. 新たな視点の獲得

他者の意見や経験を聞くことで、自分では気づかなかった視点を得ることができます。
中学生の場合、人間関係の相談がよくあります。その話を聞いていると、相手の短所にばかり目がいきがちになっています。しかし、対話をする中で、苦手としていた人の長所や良さに気づくこともあるのです。

 

4. 共感の体験

誰かに理解されることで、孤独感が和らぎ、心の支えを感じることができます。自分の気持ちをわかってくれる人が近くにいるだけで、人は頑張れるものです。

 

5. 問題解決の手助け

他者のアドバイスや提案を受けることで、問題解決の糸口が見つかることがあります。

 

6. 自己理解の促進

話すことで自分自身の考えや感情を深く理解する手助けになります。

 

次のような相談を生徒からされたことがあります。
「新チームになり、キャプテンをすることになりました。しかし、不安があります。私は、計画的に見通しをもって、チームに指示を出したりすることが苦手なんです。」
「それじゃあ、逆に得意な事はどんなこと?」と聞くと、
「分析をすることが得意なんです。チームの強みや弱点、部員の長所や短所など、そういったところを見つけることは、他の人よりも自信があります。」
話をする中で、その生徒の苦手なことや、得意なことが明らかになりました。
その後、苦手なところは副キャプテンにカバーしてもらい、キャプテンとしては、分析力を生かしてチームへ貢献し、その生徒はその部において、とても重要な存在になりました。

 

7. 人間関係の強化

悩みを共有することで、信頼関係が深まり、人間関係がより強固になります。
定期的なミーティングや学級討議が有効です。

 

8. 感情の表現

言葉にすることで、抑圧されていた感情を表現しやすくなります。

 

9. サポートの獲得

友人や家族からのサポートを受けることで、心の支えを得ることができます。
自分の悩みや弱みを話すことで、聞き手は共感し、より強固な関係を築くことにもつながります。

 

10. 自己肯定感の向上

誰かに話すことで、自分の悩みが、組織やチームにとっても重要であると認識され、自己肯定感が高まることがあります。

 

【まとめ】

悩みを相談できる環境になると、組織内の課題の早期発見につながり、より早くその課題の解決に向かうことができます。
また、個人の心の健康だけでなく、自己理解にもつながり、一人一人が成長しやすい組織になるのではないでしょうか。

ネガティブ思考(心情)を断ち切るための6つの行動

人間の思考は常に同じではなく、その時の置かれている状況で変化しやすいものです。

「トラブルを成長につなげるマインドセット(心のもち方)」も大切ですが、日々の生活を成長につなげていくためには、ポジティブな思考になるための具体的な方法を事前に準備しておくことも重要になります。

 

私がよく反省することですが、普段は簡単に終わらせることができるような仕事でも、複数の仕事が重なっていると、心に余裕がなくなっている時があります。
そんな時に、「〇〇先生、この仕事もお願いしていいですか?」や、「次回の研究授業をお願いしたいのですが…。」などと言われると、『いやいや…今は回らないよ…。』とマイナスな心情になり、物事をネガティブに考えてしまいます。そのような状態で仕事をしていると、ミスにつながることもあります。場合によっては、負の連鎖につながることも…。

 

しかし、仕事はどんな心情であれ、自分が請け負ったものは終わらせなければならなりません。そうであれば、成長につながる行動をとった方が絶対にいいはずです。そのためには、プラスの心情(ポジティブ思考)が必要となります。

 

ネガティブ思考(マイナスな心情)を断ち切る6つの行動

①深呼吸をする
イライラした状態の時は、交感神経の働きが高まり、心のアクセルが強まった状態になっています。
深呼吸をすることで、副交感神経の働きが高くなり、落ち着きを取り戻すことができます。
また、イライラした状態での会話は、マイナスでしかありません。感情に任せて発言すると、問題の本質から逸れたことを言ったり、相手を傷つけることを言ったりするので、注意がひつようです。

 

②悩みを相談する
例えば学校であれば、生徒指導上の問題が立て込んでいたり、仕事のミスが発生したりした時は、まず相談しやすい人に話してみることです。それだけでも心が軽くなります。
場合によっては、まず上司に報告、連絡、相談を!

 

③1人でトラブルを解決しようとしない
上記の②の内容と関連しますが、そもそも失敗やミスが起きているときは、これまでの自分自身の行動に落ち度があった可能性が高いはずです。そのような時に、そのミスを1人で対応しようとしても、逆に悪化させてしまうかもしれません。
少しでも早く解決に向かうためには、1秒でも早く、誰かに相談することが最善の策でしょう。

 

④緊急度、重要度の高い仕事から着手する
仕事が溜まっていくと、それだけで脳が飽和状態になります。さらにそのような状態になると、どの仕事から着手すべきか冷静に考えられない場合もあります。
そんな時は、まず着手する順番を決めることが必要である。To Do リストを作成し、順番が整理されるだけで、落ち着きを保てることがあります。また、その時に各仕事の締め切りを把握することも大切です。
着手する順番を決めるときは、縦軸に重要度、横軸に緊急度の線を引き、それぞれの仕事が、その4分割のどこに当てはまるかのまず考えてみましょう。(時間管理マトリクス)

 

⑤体を動かし汗をかく
運動には、脳をリフレッシュさせる効果があります。特に30分以上のランニングは、『抗うつ剤』を打つのと同等の効果が期待されています。

 

⑥ときには休んでリフレッシュする
心に余裕がないと、悲観的になりやすいものです。そのような状態では、正しい判断や、建設的な解決策を見出せない可能性が高くなります。
責任感が強い人ほど、『こんな大変な時に休んではいけない』と感じると思いますが、一度リフレッシュをする、休養をとることも大切です。1日仕事を休んだからといって、その職場が回らないわけではありません。それよりも、元気な姿で働ける状態になってくれた方が職場においてもプラスに働く場合が多いものです。
『今日は休ませてもらおう』という気持ちも場合によっては必要です。


ネガティブな思考になっている時は、仕事の生産性も落ちやすくなります。
その状況を断ち切る行動を取り入れ、心情に変化をもたらし、ポジティブな思考で物事に取り組むことは、生産性が上がるだけでなく、多くのメリットをもたらすでしょう。

トラブルを成長につなげるマインドセット(心のもち方)

年度末を迎え、仕事に追われている職場もあるのではないだろうか。


私が勤務している学校も例外ではない。
受験や学年末テストの準備、また成績処理や通知用の作成など多くの業務が立て込んでいる。

そんな仕事が立て込んでいるときに限って、生徒間のトラブルが起きたりする(汗)
しかも不思議なことに、マイナスの出来事は続くことがあるのだ。

 

ケンカをした生徒の聞き取り(事実の確認)を昼休みにしていると、急に部屋の扉が開いた。そちらを見ると呼吸が荒くなった生徒が立っており、「〇〇先生、向こうでケンカが発生しています!止めに来てください!」と呼びに来る始末。
そうかと思えば、「〇〇先生、向こうのほうで、教室のガラスが割れたようです!」なんてことも…。
まさに、猫の手も借りたいという状況である(汗)

仕事に追われて教員の心に余裕がないと、不思議とそれが生徒にも伝わり、生徒も落ち着かない状況が生まれてしまう。

 

そんな時に大切にしているのが、深呼吸をして、冷静になることである。
負の連鎖が起きている時に、生徒や周りの環境を変えようと思っても、そう簡単にはいかない。
最も手っ取り早く変えることができるのが、自分のマインドセットである。

 

マインドセットとは、物事を考えるときの「心の持ち方」や「考え方の枠組み」のことを指す。
簡単に言うと、どういうふうに物事を捉えるか、どんな態度で挑むかということだ。

 

負の出来事を自己の成長につなげるマインドセット

①負の出来事への挑戦の先に、成長があると考える
何事も行動しなければ始まらない。その行動は、確実に自分の成長につながる。

『どんなトラブル(出来事)も、自分を成長させるための経験』とプラスに考えることを大切にする。

 

② 自分の能力や人格を否定せずに、これからどうするかを考える(未来思考)
『私はだめな人間だ。』と自分の能力や人格を否定するような考えはマイナスにしかならない。
負の出来事の発生や失敗に至るまでの自分の行動をの反省は、短時間にする。
それよりも、『これからどんな状況にもっていきたいか』、『そのために、自分には何ができるか』など、未来に視点を置き考える。

 

③プラス(前向きな)言葉を使う
自分が発した言葉を最も聞いているのは自分自身である。そして、脳は無意識に言葉を吸収し、心に影響を及ぼす。そのため、前向きな言葉を使うことで、心が前向きになり、物事に取り組む態度が変わってくる。


負の出来事や仕事でのミスが続くと、誰でも落ち込んでしまうもの。特に高校や大学を卒業したばかりの若い時は、経験の少なさから不安を感じやすい。それが考え方や心に影響を与えてしまう。しかし、マインドセットを変えることで、どのような出来事であっても、自分の成長につなげることができるのではないかと考える。

 

相手の反応で、アプローチの仕方を変える(目的思考)

毎朝、校門前で生徒に挨拶をしていて、不思議に思うことがある。


入学式後の初々しい1年生の時は、「おはようございます!」と元気よく挨拶をしてくれる。しかし、中学校での生活が長くなるにつれ、挨拶の反応が徐々に鈍くなってくるのである。
もちろん、3年生になっても元気よく返してくれる生徒もいるが…。

 

時々、あまりにそっけない態度の生徒を止めて、「ちょっと待ちなさい。挨拶をされたら、挨拶くらい返しなさい!」と言ってしまうこともある。
そんなときは、『はぁ…。朝から語気を強めてしまった…。』と反省する…(汗)
相手からの反応を期待しているから、反応がなかったときに不満を抱くのかもしれない。

 

そもそも、何のために挨拶をしているのか?
改めて挨拶の目的について考えてみた。

 

私が挨拶をする目的は、2つある。

①生徒とのコミュニケーション

挨拶を通して、生徒と関係を築き、少しでも距離を縮めたいと思っている。


②生徒のその日の状態の観察

登校時の生徒の様子、特に表情に気を配るようにしている。また、制服の汚れ(乱れ)がないか、声の大きさに元気はあるかなどを観察し、不安を抱えてないかなどの様子を見ている。

 

上記の目的を考えると、相手が挨拶をしないことに対して、不満を抱くのは少し違うのかもしれない。
しかし、教育現場にいる者として、義務教育の最終段階である中学校で、社会のマナーとして必要最低限挨拶くらいはできる大人になってもらいたいと思っている。

 

先述した通り、生徒と関係を築くために、コミュニケーションの一環として挨拶をしている。
しかし、挨拶を返すことができない生徒の特徴としては、前に関係が築けている先生にしか挨拶を返さない(できない)のではないかと感じる。

 

そこで、挨拶の仕方(アプローチの仕方)を変えてみることにした。

①相手の名前を言ってから、挨拶をする
「〇〇さん、おはようございます!」と名前をつけることで、相手は自分個人に挨拶をされている認識になり、高い割合で相手も挨拶を返してくれるようになった。
それに加えて、この方法を実践すると、相手の名前を覚える必要があるため、私自信が積極的に生徒名を覚えようとすることにもつながった。
自分が授業に出ていない学年の生徒の場合は、「おはようございます。名前を覚えたいので、教えてもらってもいいかな?」と声をかけ名前を教えてもらう。(登下校時、名前札を付けていないため)
そうすることで、その生徒とコミュニケーションが図れ、距離が縮まる効果も出たように感じる。

 

②学校近くの信号機がある場所に立ち、そこで挨拶(運動)をする
学校周辺では、登校する生徒が集団になるため、挨拶をしていても、一斉に目の前を大勢が通過する。そのため、一人一人名前を呼びたくても間に合わないことがある。
そこで、生徒と話す時間をつくり出し、関わりを深めたい場合は、学校近くの信号機がある横断歩道に立つ。そして、信号が赤になり、横断歩道前で生徒が止まっているときに、何気ない雑談をする。生徒は、信号待ちの暇つぶしの時間なので、何気ない会話にも応じてくれやすい。

 

③生徒の変化に気づき、伝える
例えば、髪を切ったり、制服の衣替えをしたりした場合は、その変化について声かけをする。また、部活動の試合後は、その結果についても「◯位入賞おめでとう!がんばったね!」や「この前の試合惜しかったね。次また頑張ろう!」など、一言声をかけるだけでも、生徒は自分のことを気にかけてもらっていると感じ、関係性の構築につながる。

 

挨拶の目的を意識し、アプローチを変えたことで、それまで校内では話さなかった生徒とも、関係が築けるようになった。その結果、挨拶の反応も格段に向上したように感じる。
現状が上手くいっていない場合は、少しの工夫を加えてみると、案外現状を打開できるのかもしれない。